みなさんこんにちは、りんです。
今回も前回に引き続き「医学生の生活」についてご紹介したいと思います😊
今回は、他の大学とたくさんの違いがありそうな「実習・授業」について、現役医学生の目線で詳しくご紹介したいと思います!
☑実習ってどんなことやるの?
☑病気のことしか学ばないの?
☑6年間のカリキュラムは?
☑実際授業って忙しいの?
と、様々な疑問を持っている人必見☆
話題になりやすい解剖実習や病院実習から、マイナーな実習まで詳しく書いちゃいます!
(医者との婚活の話題づくりに使えるかも、、?笑)
それでははじめましょー!
※あくまで私の大学におけるカリキュラムですが、全大学ほとんど学ぶべきことは同じなので、時期が違うくらいだと思います◎
※皆さんに読んで頂くため、簡単な言葉や説明を用いており、正式な定義とは少し異なる説明をすることもあります。
目次
医学生の授業~概要~
医学部が6年間あることは多くの方がご存じかと思いますが、
6年間も何しているんだろう?と疑問に思われる方も多いかもしれません。
まずは6年間でどんなことをするのか、簡単にまとめました👇
・1年生:一般教養と呼ばれる数学や物理、英語などを学びつつ【基礎医学】※と呼ばれる科目が始まります
・2年生:この年のメインは解剖学!「解剖実習」が2年生の4~7月にみっちり行われます。また【臨床医学】が始まり、主要な臓器・器官系である「循環器」や「脳神経」、「呼吸器」「消化器」などをメインに学びました。(いわゆるメジャー科ですね)
・3年生:臨床医学の中でもマイナー科と呼ばれる「泌尿器」「産婦人科」「小児科」「耳鼻咽喉科」「整形外科」などを学びます。ここで臨床各論と呼ばれる科目ごとの授業は一通り終わります。
・4年生:「公衆衛生学」や「東洋医学」だけでなく医療安全や画像の読み方、診察の技能など、大きな山場である【CBT/OSCE】にむけて総合的に勉強します。
・5年生~6年生前期:病院実習いわゆるポリクリ・クリクラと呼ばれる実習が始まります。後で詳しく解説しますね。
・6年生後期:最大の山場である【国家試験】に向けての勉強が本格的に始まります。また卒論などがないため、9~11月にかけて「卒業試験」が行われます。
※基礎医学とは正常な人体機能を学ぶ学問で主に以下の領域に分かれています
(わかりやすく具体例で書いてあるので、定義などを知りたい方はぜひググってみてください😊)
解剖学 | 正常な人体の構造を(筋肉や神経・血管の名前や各臓器の構造など詳しく)学ぶ 英語名も覚える大学が多いみたいです |
生化学 | 生物を構成する最小単位である「細胞」や細胞間の相互作用を学ぶ (どうやって栄養を細胞内に取り込んで利用するかなど) |
分子遺伝学 | ヒトを構成する最重要要素の「遺伝子」について学ぶ (細胞が増殖するとき、同じ遺伝子をどうコピーするのかなど) |
生理学 | 各臓器・器官がどのように調節されているのか、その仕組みを学ぶ (暑いときに汗が出たり、走ったら心臓がどきどきしたり、、) |
微生物学 | 細菌や寄生虫の構造を増やして顕微鏡で観察して学ぶ (抗生物質がどの最近に効くのか、細菌とウイルスの違いなどを学ぶ) |
組織学 | ひたすら正常の人体の組織(細胞のまとまり)を顕微鏡で観察・スケッチ |
薬理学 | 薬ごとの様々な効果や作用機序、分類、患者ごとに使ってはいけない理由などを学ぶ |
発生生物学 | 精子と卵子が受精してから赤ちゃんになるまで、どのように細胞分裂が起こって分化(成長)していくのかを学ぶ |
法医学 | 例えば死因を特定したりなど、警察と関りが深い分野 |
公衆衛生学 | 例えばコレラは公衆衛生学者が感染者を統計的に分析することで、感染源を特定した |
病理学 | がん組織などを採取して分類することで、予後を推測する情報を提供するなど (長瀬智也さんのフラジャイルですね!) |
◎6年間の大体の流れはこんな感じです。
基礎医学も臨床医学も難しそうだな~と思う方もいるかもしれませんが、、、そんなことはありません!
難しい教科は決まっています。各学問の実習を紹介したら、最後の章で難しい教科をランキング形式で発表しますね❤
それでは次の章で医療系学生ならではの実習をご紹介します◎
医学生の実習
医学生は年中様々な自習を行っているため、すべては書ききれません!
そこで今回は、有名な実習や記憶に残った実習を厳選してご紹介します◎
有名な実習1:解剖実習
(細かく書くので、苦手な方は次の実習へskipされてくださいね)
医学部の実習と言えば、これがまず思い浮かぶ方が多いかもしれません!
私もよく、「解剖って本当に人間なの?」って聞かれます。
本当に人間です!
※まずはまじめな話。
解剖実習は、生前から[自分が死んだら○○大学の解剖に使ってください]と意思表示してくださった方の【ご献体】によって成り立っています。
亡くなられると、葬儀の後火葬されずに各大学に運ばれます。(大学は本人が生前に決めています。お世話になった大学や卒業大学など)
その後、全身の血液を大腿動脈という太い動脈から抜いて保存液(ホルマリンなど)を注入し、保存させていただくため、ご遺族に返還されるまで1,2年かかります。
医学生は、ご好意で献体してくださった個人とそのご遺族への感謝を表すため【解剖慰霊祭】にも参加します。
~解剖実習の流れ~
まず帽子やエプロン、腕につけるアームカバーなどの準備をし、
最初と最後にに黙祷をします。基本的な手順は以下です。
- 皮と脂肪ををはがす
- 筋肉を確認しながらはがし、筋肉の層構造を確認
- 神経の分岐を確認して糸で印をつける
- 臓器の位置・臓器ごとのつながり・内部構造を確認する
- 最後に脊髄と頭部を観察
一番大変なのは、
・脂肪をとること
・神経を見つけてマークすること
神経は細く様々に分岐しているので、見つけてもどう存在しているのか追いきれません!笑
また、メスも初めて触るので使い方には注意が必要でした!(想像以上によく切れます)
正常な人体の構造は複雑なため、実際に手を動かすことで三次元的な理解が深まります。
(ちなみに脂肪はスクランブルエッグに似てて、一時期食べれなくなりました。。)
私の学校では1時間目に今日解剖する所の授業をし、2~6時間目まで解剖を行うのを週2.3日、3か月半行っていました。
解剖実習の全日程が終わると、ご献体は感謝の気持ちを込めて自分たちできれいに戻したのち、納棺し出棺まで見送らせていただきます。
解剖実習はこんな感じですね◎想像どおりだった方も多いかもしれません!
次もよく聞く実習『病院実習』についてです!
有名な実習2:病院実習(ポリクリ)
ポリクリはドイツ語の【ポリクリニック=多数の病床】が語源です。
医学生がよく「ポリクリいま○○まわってる~」という会話をするのを聞いたことあるかもしれません。
ポリクリは基本的に5.6年生の1年半かけて、4.5人1班で付属の大学病院で実習します。
実際に何してるの?と疑問になりますよね笑
主に研修医の後ろについて、実際の患者さんで診察手技や治療法などを学びます。
病院実習に出られるのは4年生でCBTと呼ばれる国の試験に合格した人だけですが、医師ではないのでできることは制限されます。
つまり、患者さんに不利益を与える可能性のあることは一切できません
(だって、死にそうなときに何もできない医学生が診断したら困りますよね。。笑)
以下に私が実際実習でできたことを簡単にまとめました◎
- 朝のカンファレンスに参加(病状が安定している方を受け持たせてもらえることも)
- 安定している方の問診
- 手術見学
- 胸骨圧迫
- 採血管分注(とった血液を、検査項目ごとに分ける)
- 患者さんの移動手伝い
などなど、色々です。あとは研修医と一緒に行動し、頼まれたことをお手伝いて学びます!
何となくイメージしてもらえたらうれしいです◎
続いて、世間一般的に有名ではないけど私の記憶に残っている医療系ならではの実習を3つ簡単に紹介します。
組織学・病理学実習
・組織学は正常な組織(病理学は病気がある組織)をとってきて、染色し顕微鏡で観察する学問です。
◎学生はどんな実習をするかというと色鉛筆で
ただひたすらにスケッチ!スケッチ!スケッチ!

組織を顕微鏡で拡大して(☝こんな感じに)観察し見えたものを書くのですが、
これがとても難しい。。。
まず、観察すべき構造が見つからない。だって細胞で埋め尽くされてますから😢
次になにを書いたらいいのかわからない。細胞一つ一つを全部書くわけにはいかないので、先生が求める構造をうまく抜き出す必要があります。
先生が求める構造は見えないことが多く、【心の目】と【教科書】と【先輩の過去レポ】を駆使して描きます。
が、教科書はきれいすぎて写すとバレるし、先輩の過去レポも間違っていることが多いので、、、(´;ω;`)
私は絵が下手なのでいつも『再提出』にひっかかってました笑
この組織学、全部の臨床科目で行うので私の学校では3年生までやりました。辛いです。
また、染色の関係でピンクと紫の色鉛筆だけ異常に消耗します笑
薬理学実習
続いては薬理学です。
この科目は様々な実習をするのですが、その中でも私が一番衝撃的だったのは「マウスに薬を投与する」実験です。
(以下、動物などの悲しい話が苦手な方はskipされてください)
◎実験の目的:末期がん患者の痛み緩和目的で投与するモルヒネ(麻薬の一種)などの投与量を徐々に増やしていき、マウスがどのような行動をとるか時系列で観察する
ガンの痛みを緩和するモルヒネは、痛みに強い効果を発揮しますが投与すると寿命を縮めるデメリットもあります。
しかしガンなどで痛みがひどい場合、QOLをできる限り維持して最期を迎えるために使用することが認められています。
このように、毒性があり使用に注意が必要な薬剤が、人体にどの濃度でどのような作用をもたらすのかを計算するためにマウスで学習します。
この実習に限らずマウスを使った実習は多く、医学生はたくさんの勉強をさせていただいています。
生化学実習
最後は生化学実習です。
この分野も様々な実習を行うのですが、私が一番嫌だったのは【血液検査実習】です!
なぜなら
初めて友達と採血し合うから
この実習は、実際に患者さんから採血をした後、どのように様々な検査結果を出すのかを自分でやってみる検査です。(実際の現場では臨床検査技師さんが行ってくれます)
が、まずはお互いに採血し合います(人生初めての採血です!)
採血するのもされるのも嫌なので、人形で何回も練習しました。。
(人形は食紅で色付けされた水が流れてますwww)
練習しても緊張で駆血帯(縛る紐)を外す前に針を抜いて、血が出ちゃう友達も、、、😢
このように約4年かけて様々な分野を実習なども通して理解を深めていきますが、
やはり難しいと思う学問と理解しやすい学問があります。
次の章では、私の偏見による難しい教科をご紹介します!
難しい教科ランキング
私は至って普通の医学生なので、私が苦手な教科は多くの医学生が苦手意識を持っていると言ってもいいと思います。笑(個人差ありますが)
すごくどうでもいい内容なので、時間がない方は読み飛ばしてください!笑
それでは私が考える難しい教科ランキングです👇(独断と偏見)
分野ごとのイメージを掴んで頂けたら嬉しいです!
~基礎医学~
基礎医学 | 理由 | |
1位 | 薬理学 | 薬の名前がカタカナでなじみがなく混乱する |
2位 | 組織学・病理学 | スケッチが難しい |
3位 | 解剖学・微生物学 | 単純暗記で名前や微生物の英語を詰め込まれる(半端ない量) |
~臨床医学~
臨床医学 | 理由 | |
1位 | 脳神経(神経内科) | 脳は一番大事といっても過言ではない臓器な上、 解明されていないことも多く、暗記も理解も必要 |
2位 | アレルギー膠原病 | いわゆる難病と呼ばれる病気も多く、治療法なども細かく分類され、イメージがわきにくい |
3位 | 腎臓内科 | なぜか様々な分類方法が入り交じり、病理画像も難しい |
以上です。詳しく気になる方はぜひ質問ください◎
まとめ
医学生の授業内容、いかがだったでしょうか?
解剖実習や治療法を学んでいるイメージの医学部ですが、
本当は基礎医学と呼ばれる分野をたくさん学び、様々な実習をしていることが少しでも感じていただけたら嬉しいです☆
最後に。。
どの学問も他の医療系学部でも学ぶ内容だと思います。
ただ、一点大きな違いがあるとすれば、医学部は治療するリスクと治療しないリスクを天秤にかけて決断するために勉強しています。
患者さんのQOLは看護師さんのフォローや薬剤師さんの処方で協力して変えられる部分がたくさんあります。
しかし、治療することでかえって患者さんの不利益になること(例えば100歳のよぼよぼのおじいちゃんに大手術はしないですよね)と治療をやらないことのリスクを考えて
治療方針を決定できるように勉強しているのだと4年半の学生生活を通して感じています。
(ある先生に言われた言葉なんですけどね笑)
以上です!ちょっと真面目な話もいれてみました~
前回の恋愛・バイト事情も面白いのでまだの方はぜひ~👇
【謝罪】コロナによる影響も書きたかったのですが、字数が増えすぎてしまったので、、また別の機会に書いていきたいと思います💦
次回は医学生のテスト・試験勉強について紹介するので、お楽しみに~!!
最後までお読みいただきありがとうございました♡
もし何か質問があれば、Twitterなどでもお待ちしています!
この記事で少しでも医学生の大学生活が垣間見え、身近に感じていただけたら嬉しいです😊
りん